補習校って? 校長より


「補習校」ってどんなところ? (2/10/2017)

シカゴ双葉会日本語学校補習校

校長 南口研司(なんこうけんじ)

 

 日本では「補習校」のことをあまり知られておりません。多くの方々に「補習校」を知っていただき、ご理解とご協力をいただけるよう願っています。

〇日本政府の思いやり

 「シカゴ双葉会日本語学校補習校」の幼小中高のうち、外務省および文部科学省では義務教育の小中学校の部分を「補習授業校」として認定し、日本から教員を派遣し、補助金を交付しています。同じ校舎で月~金の教育活動を行う「シカゴ双葉会日本語学校全日校」(シカゴ日本人学校)も同様に教員派遣や補助金をいただいております。海外で生活する日本人にとって子どもの教育は、医療や安全と並んでとても大切なことの一つです。他の国ではこのような国民に厚い政策は珍しく、その点、日本政府はたいへん思いやりがあると言えます。

 〇日本人学校と補習授業校

 *日本人学校

 日本人学校は、在外で日本国内と同様、月~金までほぼ国内と同じ教育課程で運営しています。海外にある日本の小中学校とイメージしていただければよろしいかと思います。海外で日本国内と同様の学校として日本人の教育を支える大切な施設です。シカゴ日本人学校は「全日校」と呼んで「補習校」と区別しています。

  *補習授業校

 平素は現地校に通う義務教育年齢の児童生徒のために週末に日本語で授業をしている教育施設です。ウィークエンドスクールとかサタデースクールと呼ばれています。全世界に200以上あり、最もその数の多い米国を中心に約21,000人の子どもたちが通っています。当初は帰国を前提とした子どもたちが主に在籍しておりましたが、最近は永住の子どもたちが急激に増加しています。

 

基本的な補習授業校の目的

 シカゴ補習授業校(小・中学部)は、平日に現地校に通う子どもたちが、週一回、土曜日に日本語で学ぶ場所です。日本の文部科学省の学習指導要領に基づき、日本の小・中学校の教科書を使用して、帰国後に困らぬよう国語・算数・数学・社会科の補習授業を行います。行事として、始業式・終業式・卒業式・運動会などがあります。

 また、日本の伝統文化や行事を体験することを通して、日本人としての自覚をもち、バランス感覚のあるグローバルな人材育成を目指しています。

 

〇 「全日校」「補習校」と「双葉の子」

 シカゴ双葉会日本語学校補習校は、日本政府の補助を受ける小学部・中学部の義務教育部(合計602名)と、双葉会独自で経営する幼稚部・高等部(合計118名)で構成されています。日々の生活の中では全体(720名)を「補習校」と呼んで区別なく活動しています。(生徒数2016/10/22現在)

 また、シカゴ双葉会日本語学校は世界でも珍しい全日校(日本人学校)と補習校が同居する教育施設です。園児児童生徒は相互に籍替えをすることができます。

 同じ校舎を月曜日から金曜日までは全日校が使い、土曜日は補習校が使っているのです。

 全日校(214名)・補習校(720名)合計(934名)は「双葉の子」です。

 

〇 補習校の子どもたちの可能性

 補習校に在籍する子どもたちを大きく二つに分けることができます。

 * 帰国を前提とする子どもたち

 保護者の仕事の関係で数年間滞在し、現地校と補習校に通っています。帰国を前提としていますので、帰国後に困らぬように国語や算数・数学については国内同様の授業を期待しています。

 * 永住の子どもたち

 永住で、将来アメリカ市民になる可能性の高い子どもたちです。その多くがアメリカに在住する永住者、または両親が国際結婚をして生まれたお子様で、正にバイリンガル・バイカルチャーの人です。

 いずれの場合も、自立を促そうとする米国現地校の英語による教育と、公の人としての心を育て日本語で教育をする補習校の教育を受け、英語と日本語を使える若者は、日本と世界の架け橋になってくれることは間違いありません。今、日本で求められているグローバルな人材育成の点から、世界中の補習校に通っている子どもたちは正に期待される資質・能力の持ち主だと言えます。

 

〇 子どもたち・保護者の努力

 補習校に通う子どもたちは、月~金の5日間は現地校(アメリカの幼稚園や学校)に通います。英語漬けになるので日本語の維持が難しくなります。週1回の補習校の授業だけでは日本語を維持できません。月~金までの家庭生活でも、日本語による学習が大切になります。子どもも保護者もその努力はたいへんで、切実です。

 また、各々、様々な家庭的背景を持ちながら、多様な学習環境に身を置いて勉強をしています。保護者の転勤のために日本や他国から移り住んできた子、米国で生まれ育った子、両親とも日本人の家庭に育った子、両親のどちらかが日本人以外の家庭で育った子など、多様な家庭環境・言語環境・学習環境をもつ子供たちが共に机を並べるのが補習校の実際です。英語の能力・日本語能力についてもそれぞれの課題を抱えています。

 小学部の中学年以上になると現地校の学習や学校外の活動で多忙になります。中学生にもなるとさらに厳しく、土曜日にも活動が行われることも多くなります。そのような中、本人と保護者の強い意思が補習校への通学を支えます。艱難辛苦を乗り越えて通ってくる子どもたちを支え、迎えてくれるのが補習校の約40名の先生方です。

 

〇 補習校の先生方

 先生方は毎週の土曜日に、朝早くから夜遅くまで子どもたちのために努力を重ねています。月~金までは別の仕事をしておられる方が多く、多忙な中で準備をして土曜日の授業に臨みます。近年、日本語の能力差が顕著な学級が増え、そんな子どもたちに対応する工夫が求められています。身体活動や映像・写真を取り入れるなど、日本語の心配な子どもでも理解しやすい授業を創ろうと努力されています。

 先生方がどのような心持ちで土曜日の授業に臨んでいるのか、授業後に提出される日報に垣間見ることができます。

ある日の日報から・・・

〇今日は、保護者の方に『楽しいと言って補習校に行くんですよ』と言われ、とてもうれ

  しかった。そういう子どもが多くなってほしい。

〇『今日の授業のおかげで漢字がもっと好きになった』の一言を聞いてホッとした。漢

 字の成り立ちや辞典を使って自分の名前の漢字を調べ、充実した時間が過ごせ

 た。・・・子どもたちがお互いを刺激し合いながら、高め合いながら学び合っていける

 よう、よりよい環境をつくっていけたらと思います。

〇本日は、算数で複雑な形も直方体や立方体の形をもとにすれば求めることができる

 ことを勉強しました。また、1メートルのものさしで立方体を作った作業は楽しかった

 ようです。身体で1㎥の大きさを体験できました。

〇中1のクラスでは、身体を使って言語の表現の楽しさを知ってもらいたかったので、

 『描写』の理解を深めるため、五感+想像力を駆使。描写表現の体験をした。もっと

 工夫し、国語を楽しんでほしい!!

〇高3生は残り少ない日々を大切にしたい、と皆“一言日記”に書いています。『補習

 校大好き』と書いてくれていると、ガンバロウという気持ちになりますね。

 

 このように、補習校の先生方はアメリカで暮らす子どもたちのために情熱を傾け、熱意と教育愛をもって教育の仕事に当たっています。シカゴ双葉会日本語学校補習校は昨年、2016年に50周年を迎えました。支えてくださった皆様と保護者そして歴代の先生方の努力のお陰です。

 皆様にぜひ日本人学校と補習校の存在、とりわけ補習校の教育活動を理解していただけますように願っています。



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